
インターバンク市場とは|仕組み・参加者・他市場との違いまでやさしく整理
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インターバンク市場とは|仕組み・参加者・他市場との違いまでやさしく整理
金融機関同士が資金や外国為替をやり取りする「インターバンク市場」。店舗のような物理的な場所はなく、相対(OTC)での取引がコンピューターや通信網を通じて集中的に行われる“枠組み”を指します。本記事では、定義と仕組み、参加者、他市場との関係、特徴、そしてよくある疑問を、元ネタに依拠しつつ分かりやすく再構成しました(投資助言は含みません)。
目次
1. インターバンク市場の基礎
インターバンク市場は、銀行などの金融機関同士が取引する市場(銀行間取引市場)を指します。参加者が金融機関に限定される点が最大の特徴です。 この市場は特定の建物や取引所を持つわけではない抽象的な枠組みで、各機関が電子ネットワーク等を介して取引します。
2. インターバンク市場の仕組みと参加者
2-1. 取引の枠組み
金融機関は
- ・相対で直接取引を行う場合と、
- ・仲介(ブローキング)を介して取引する場合
の双方があります。ここで形成される為替レートはインターバンクレートと呼ばれ、のちの対顧客レートの基盤になります。
2-2. 参加者の例
インターバンク市場に参加できるのは金融機関のみです(個人や一般企業は参加しません)。代表例:
- ・中央銀行(例:日本銀行)
- ・民間銀行
- ・為替ブローカー
- ・証券会社
- ・短資会社
- ・電子ブローキング
3. 他の金融市場との関係と違い
3-1. 金融市場の大分類と位置づけ
一般に金融市場は、
- ・短期金融市場
- ・長期金融市場
- ・金融派生商品(デリバティブ)市場
に大別されます。このうちインターバンク市場は短期金融市場の一部で、コール資金、手形、外国為替などが取引対象です。広義には、預貯金市場・貸付市場・保険市場なども、インターバンク市場以外の金融市場として挙げられます。
3-2. 対顧客市場との違い
誰が取引するかが違います。
- ・インターバンク市場:金融機関どうしの取引(卸市場のイメージ)
- ・対顧客市場:金融機関と企業・個人の取引(小売市場のイメージ)
対顧客市場の為替レートは、インターバンク市場で決まったレートを基に配信されます。
3-3. オープン市場との違い
- ・インターバンク市場:銀行など金融機関のみ参加。
- ・オープン市場(公開市場):金融機関以外も参加可能な枠組み。債券現先、CP/CD、国庫短期証券などが含まれます。
3-4. コール市場との違い
コール市場はインターバンク市場の一種です。語源は“money at call”(呼べば直ちに戻る資金)。ごく短期の資金を相互に融通する場で、代表例が無担保コール翌日物。その適用金利である無担保コールレートは、現在の日本銀行の政策金利として位置づけられています。
4. インターバンク市場の特徴(流動性・為替レート・金利)
4-1. 流動性と規模
インターバンク市場は取引量が大きく流動性が高いのが特徴です。国際決済銀行(BIS)による2022年の調査では、世界の外国為替市場の1日平均取引額は7兆5,000億ドル超と報告されています。
4-2. 為替レートの形成
為替レートは、インターバンク市場における需給(需要と供給)のバランスによって決まります。こうして形成されたレートが、対顧客市場のレートの基盤となります。
4-3. 金利の形成
短期金融市場としてのインターバンク市場は、1年以内の資金過不足を調整する場です。担保の有無や手形の利用など様々な形態で資金の貸し借りが行われ、需給関係により金利が決定されます。
5. よくある質問(Q&A)
Q1. インターバンク市場はどこにありますか?
A. 取引所のような施設はなく、金融機関同士の取引という“枠組み”を指します。電子ネットワークや通信を通じて取引が行われます。
Q2. 対顧客市場との違いは何ですか?
A. 取引主体の違いです。インターバンクは金融機関どうし、対顧客市場は金融機関と個人・企業が相手方になります。
Q3. オープン市場との違いは?
A. インターバンクは金融機関に限定、オープン市場は金融機関以外も参加可能です。オープン市場には債券現先、CP/CD、国庫短期証券などが含まれます。
Q4. コール市場との関係は?
A. コール市場はインターバンク市場の一種で、ごく短期の資金をやり取りします。代表的な無担保コール翌日物に適用される無担保コールレートが、日本銀行の政策金利に相当します。
6. まとめ
インターバンク市場は、金融機関同士が資金・外国為替を取引する抽象的な市場であり、金融システムの“卸”の役割を担います。対顧客市場の為替レートの基盤となり、短期資金の調整機能を通じて為替レートや金利の形成にも影響を与えます。コール市場のような短期資金市場を含み、規模・流動性ともに大きいのが特徴です。