
プロフィットファクター(PF)完全ガイド|定義・計算・つまずきやすいポイントまでやさしく解説
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目次
1. 概要
プロフィットファクター(Profit Factor, PF)は、一定期間の「総利益」と「総損失」の比率を1つの数字で表す指標です。期間全体で“勝ち負けのバランス”がどうだったかを素早く把握できます。EA(自動売買)の検証や、裁量ルールの見直しでもよく使われます。
2. 定義と計算(まずはここだけ押さえる)
PF = 総利益 ÷ 総損失
- PF>1 期間合計で純利益(損失1に対して利益が1以上ある)
- PF=1 期間合計でトントン
- PF<1 期間合計で純損失
ポイントは、「平均」ではなく「期間の合計」で評価する比率だということです。
3. どう役立つのか(使いどころ)
EAや戦略の“第一印象”を見る
- 同じ条件(銘柄・期間・コスト前提)で複数の戦略を比較すると、PFは直感的に差が掴めます。最初のふるい分けに便利です。
仮説検証の採否を補助する
- 新しい売買ルールをテストし、PFで期間全体の損益バランスを要約。相場局面(トレンド/レンジ)や時間帯を変えてもPFが安定するかを見ると、再現性の見当がつきます。
4. 具体例(数字でわかるPF)
例)10回の取引結果が次のとおりだったとします。
- 勝ち6回:+12,000円、+8,000円、+15,000円、+5,000円、+10,000円、+22,000円
- 負け4回:−9,000円、−6,000円、−12,000円、−18,000円
- 総利益=12,000+8,000+15,000+5,000+10,000+22,000=72,000円
- 総損失=9,000+6,000+12,000+18,000=45,000円
- PF=72,000 ÷ 45,000=1.60
- 読み方
この期間は「損失1」に対して「利益1.60」のバランスでした、という意味です。数字だけで“良し悪し”を断定するのではなく、後述のチェック項目も合わせて見ます。
5. PFだけではわからないこと
同じPFでも“中身”が違うことがある: 極端に大きな1回の利益でPFが押し上がっているケースと、コツコツ型で均されたケースは、どちらもPFが似ていてもリスクの肌感が違います。PFを見るときは、損益分布や最大ドローダウン、連敗数なども一緒に確認すると誤解が減ります。集計の仕方で性質が変わる: 「取引ごとに集計」か「日ごとに合算」かでPFの性格が変わります。比較するなら、集計単位(取引ベース/日次ベースなど)と期間をそろえるのが基本です。分母ゼロ問題: 検証期間に損失が1回もないと、総損失=0でPFは定義できません(実務上は“∞”や“算出不可”)。この場合は期間設定やサンプルの偏りを見直します。6. よくある混同と用語の整理
PFとペイオフレシオは別物
- ペイオフレシオ(損益比率)=平均利益 ÷ 平均損失(1回あたりのバランス)
- PF=総利益 ÷ 総損失(期間全体のバランス)
- 「リスクリワード」は一般にペイオフレシオと同義で使われます。PFとは評価の粒度が違います。
日本語表記について
- “Profit Factor”を直訳の「利益率」と書くと、元本に対する割合の意味で使う一般的な“利益率”と紛らわしいため、実務では「プロフィットファクター(PF)」のまま表記するのが安心です。
7. ミニ練習(自分のPFを出してみる)
手元の取引履歴から、勝ちトレードの金額だけ合計して「総利益」を、負けトレードの金額だけ合計して「総損失」を出します。
PF=総利益 ÷ 総損失
このとき、必ず「対象期間」「取引回数」「コストの扱い(込み/なし)」を書き添えましょう。比べるときの“土台”が整います。